症例の概要:患者は,80歳の男性で,上顎全部床義歯による咀嚼困難を主訴に来院した.上顎顎堤には前歯部から左右小臼歯部に及ぶフラビーガムならびに著明な骨吸収を認め,検査の結果,上顎全部床義歯の適合ならびに咬合関係の不良に起因する咀嚼障害と診断した.選択的加圧印象ならびに交叉咬合排列を行い,上顎全部床義歯を製作した.
考察:選択的加圧印象ならびに交叉咬合排列を行うことで,義歯の適合ならびに咀嚼時の力学的安定性が向上し,良好な結果に繋がったと考えられる.
結論:高度な顎堤吸収とフラビーガムを伴う本症例において,選択的加圧印象ならびに交叉咬合排列が有効であったと考えられる.