2019 年 11 巻 2 号 p. 143-146
症例の概要:患者は61歳の男性.食事が食べられないことを主訴に来院した.口腔内所見として,上下顎とも無歯顎で,舌は右半側を切除後に移植皮弁で再建され,可動性が低下していた.診査の結果,手術に伴う義歯不適合および舌実質欠損・舌運動障害による咀嚼障害,嚥下障害と診断し,上顎を義歯型舌接触補助床とした上下総義歯を装着した.
考察:本症例では,デンチャースペースの決定にピエゾグラフィを用い,義歯形態を舌ならびに口腔周囲筋と機能的に調和するように配慮したことが,良好な予後につながったと考えられる.
結論:舌癌術後症例において,機能的に調和した義歯形態とすることは,術後の機能回復において有用である.