2019 年 11 巻 2 号 p. 147-150
症例の概要:70歳女性,上顎左側臼歯部歯肉扁平上皮癌.腫瘍摘出術直後にサージカルオブチュレーターを装着した.4カ月後にインテリムオブチュレーターを製作した.軟組織の変化が起こったため,オブチュレーター部分を頻繁に調整した.1年後にデフィニティブオブチュレーターを装着した.ろう孔は最終的に閉鎖した.
考察:サージカルオブチュレーター装着により発話が良好となった.インテリムオブチュレーターは調整により適合していた.口腔外科との協力により早期のリハビリテーションが可能となり,オブチュレーターを頻繁に調整することによって,軟組織の変化に追従することができたと考えられる.
結論:上顎欠損の症例において3種のオブチュレーターを用いて早期からリハビリテーションを行ったところ,軟組織の変化が見られたものの経過良好であった.