2019 年 11 巻 3 号 p. 259-262
症例の概要:患者は43歳男性.上顎全部床義歯不適合による咀嚼困難を主訴に来院.下顎両側臼歯部には歯槽骨吸収と咬合平面の不整が観察され,顔貌から咬合高径の低下が疑われた.下顎両側臼歯部には歯内治療後,残根上義歯を製作し,上顎全部床義歯と下顎残根上義歯を暫間義歯として咬合面再形成を行い,最終補綴装置にて機能回復を行った.
考察:上下顎暫間義歯にて咬合面再形成を行い,適正な咬合平面,咬合高径を獲得できたことが,咀嚼機能改善の要因と考えられる.
結論:下顎両側臼歯部咬合平面の不整と咬合高径低下を伴う上顎全部床義歯不適合症例に対して,暫間義歯を用いた適切な咬合面再形成を行うことにより機能回復が可能であった.