2019 年 11 巻 4 号 p. 343-349
無歯顎患者を治療する際,上顎全部床義歯は下顎全部床義歯ほど難症例である場合は少ない.嘔吐反射が強い患者でも過不足のない義歯形態と咬合の付与により,動きの少ない義歯を製作することでクリアできることが多い.
本論文では,顎堤条件の困難さによりインプラント治療の適用を望むが,それが困難な場合について,どうすればよいのか.患者の年齢や全身状態,経済状況を考えたとき,All-on-4,やZygoma Implantを選択できない場合はどうすればよいだろうか.これらの,何とも困難な問題について私見を交えて記述する.超高齢社会であるわが国で無歯顎補綴をどう考えるか,いくばくかでも参考になれば幸いである.