日本補綴歯科学会誌
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原著論文
小臼歯CAD/CAM冠における2年間のレトロスペクティブ研究
五十嵐 一彰盛植 泰輔酒井 悠輔池田 敏和船川 竜生伊藤 歩内山 梨夏関根 秀志
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2019 年 11 巻 4 号 p. 383-390

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抄録

目的:小臼歯CAD/CAM冠による補綴治療を行った患者の属性および装着されたCAD/CAM冠の予後を調査した.また,選択された支台築造および装着時のセメントが予後にもたらす影響を分析した.

方法:歯科診療録を用いて,平成26年4月から平成28年3月の期間に奥羽大学歯学部附属病院でCAD/CAM冠が装着された患者の性別,年齢,装着部位について同時期の全部金属冠(FMC)装着患者と比較し調査した.クラウン自体の予後についてもKaplan-Meier法による累積生存曲線を描出し,log-rank検定にて同時期に装着されたFMCと比較した.さらに,CAD/CAM冠については,装着部位,支台築造状況および装着に使用したセメントを説明変数に,予後を目的変数として設定し数量化2類を用いて分析した.

結果:CAD/CAM冠装着患者はFMC装着患者と比較して女性の割合が有意に高く,平均年齢は低かった.2年予後はCAD/CAM冠が有意に脱離しやすい結果となり,相対危険度は高値を示した.数量化2類による分析ではレンジ,偏相関係数ともに使用したセメントにおいて高値を示したが,判別的中率,相関比は低値を示した.

結論:CAD/CAM冠は50歳代後半の女性に需要がある一方,脱離が多かった.そのため,支台歯の選択,歯科材料,ひいては接着システムの理解によるテクニックセンシティブ因子のコントロールが重要となることが示唆された.

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