近年,サルコペニア予防,フレイル予防が叫ばれる中,健康長寿を達成する方策として,栄養の視点を取り入れた歯科医療が必要なのは言うまでもない.一方で,歯科はこれまで咀嚼障害に対する診断に運動障害による咀嚼障害という観点を取り入れてこなかった.加齢や加齢に伴って発症する疾患は,全身のサルコペニアや運動制御系の乱れを生じさせ,咀嚼機能に大きな影響を与える.咀嚼障害の原因に運動障害が関与しているか否かは,舌圧やディアドコキネシスによる評価を応用でき,それを伴うと診断された場合には,運動障害へのアプローチは欠かせない.その際に,必要なアウトカムは栄養であり,介入内容は機能訓練に加えて栄養指導となる.