2020 年 12 巻 1 号 p. 50-54
食事の摂取に大きく関わるのが歯数をはじめとした口腔機能であり,歯の喪失が進むことで野菜類等の噛みにくい食品を避けデンプン類が豊富な食品を好むようになることが報告されている.高齢期における適切な栄養摂取の維持には,口腔機能や義歯の状況等を把握したうえで栄養管理を行う必要があり,歯科と栄養連携の必要性が高い.最近では栄養指導と口腔機能向上や補綴を組み合わせた介入研究も行われ,歯科と栄養の連携により,高齢期の健康維持や健康寿命延伸に単独では得られないシナジー効果が存在する可能性が示されている.今後「食べることの維持」という支援はさらに求められ,歯科と栄養の連携が不可欠になるだろう.