2020 年 12 巻 2 号 p. 135-143
日本のみならず世界的にも認知症患者が増加する現代において,認知症に対してはその治療よりもむしろ日常生活における予防の重要性が訴えられている.認知症の予防としては,適度な運動や食事療法など生活習慣の改善をはじめとしたさまざまな予防法が紹介されており,咀嚼もそのひとつとして期待されている.咀嚼と認知症・認知機能との関連性については,これまでの研究レビューから支持する報告が多いものの,その根底にあるメカニズムは解明されていない.今後,よりメカニズムを理解するには,医科歯科連携の研究体制をベースに包括的な調査・研究を展開していく必要性があり,神経画像研究の進歩はそれに大きく寄与する可能性がある.