2020 年 12 巻 2 号 p. 180-183
症例の概要:患者は39歳の男性,2010年に舌癌再発の診断のもと舌亜全摘,右側頸部郭清術,前腕皮弁再建術を施行.舌運動障害による構音障害,嚥下障害が主訴であった.舌運動機能に則した舌接触補助床および下顎義歯研磨面形態の製作を行い構音機能,嚥下機能の改善を図った.
考察:舌運動に則した舌接触補助床および下顎義歯の装着,使用により,発話明瞭度,主観的な構音機能および嚥下機能,嚥下姿勢に改善を認めた.
結論:広範囲な舌切除に起因する舌の機能低下症例に対し,舌接触補助床の適用と下顎義歯床の拡大による口腔容積の調整は,構音機能,嚥下機能の改善に有効であった.