2020 年 12 巻 2 号 p. 184-187
症例の概要:76歳女性.食事と会話時の義歯の脱離を主訴に来院した.全身疾患としてシェーグレン症候群があり,重度口腔乾燥を認めた.上下顎の治療用全部床義歯を用いて義歯形態と咬合平面の修正を行い,上顎レジン床全部床義歯および下顎コーヌステレスコープ義歯を新製した.
考察:本症例では,義歯粘膜面の適合を図り,適切な研磨面形態と咬合接触を付与することで機能時の義歯の安定を図った.また,口腔乾燥に対して,口腔保湿剤の使用推奨が患者の十分な満足を得ることにつながったと考える.
結論:重度口腔乾燥を呈する患者に対し,適切な義歯形態の付与と口腔乾燥への対応により,口腔機能の改善と十分な満足を得ることができた.