2020 年 12 巻 2 号 p. 188-191
症例の概要:患者は,68歳男性で,外科的再建術を伴う下顎歯肉癌切除後の咀嚼困難,審美不良を主訴に来院した.多数歯欠損,外科的再建術に伴う顎運動制限および下顎の顕著な右側方偏位が認められた.治療用義歯を用いて最終補綴の設計を決定した後,全顎的に補綴治療を行った.
考察:治療用義歯を用いた口腔機能動態およびその経時的変化の観察が,最終補綴の高い満足度および良好な予後に繋がったと考える.
結論:外科的再建術を伴う下顎歯肉癌切除術を行った患者に対し,治療用義歯を用いて最終補綴の設計を決定した後に,全顎的補綴治療を行うことで良好な経過を得ることができた.