2020 年 12 巻 2 号 p. 196-199
症例の概要:81歳女性.義歯が外れてしまうため詩吟がうまくできない,食事ができないという主訴で来院した.上顎残存歯の挺出による咬合平面の不整,ならびに上下顎義歯の不適合が認められた.治療用義歯を用いて義歯の維持と安定を確認後,上顎はコーヌステレスコープ義歯,下顎はレジン床全部床義歯を製作した.
考察:治療用義歯により義歯床形態や下顎位を修正,確認し,機能的に問題がないことを確認した後に最終補綴装置へ移行したことで,発話障害や咀嚼障害を改善できたと考えられる.
結論:顎堤が高度に吸収している症例に対して治療用義歯を用いることで最終義歯の治療効果を高めることが示された.