2020 年 12 巻 3 号 p. 300-303
症例の概要:歯科恐怖症により長期間歯科医院を受診せず,審美不良および咀嚼困難を主訴として来院した患者に対して,歯科補綴治療を行い,審美および咀嚼障害を改善し高い満足度を得た.
考察:初診時の問診から恐怖を抱くようになった原因を考慮し,診療に徐々に慣れさせることで,円滑に全顎的な歯科補綴治療を進めることが可能になった.治療用義歯の段階で審美性,咀嚼能力ともに向上したことが患者のモチベーションを高めたと考えられる.
結論:歯科恐怖症の患者に対して,歯科恐怖症の原因を考慮して歯科補綴治療を進め,口腔内の機能および審美の改善を認識させることで良好な経過を得ることができた.