2020 年 12 巻 3 号 p. 296-299
症例の概要:患者は52歳の女性,下顎両側臼歯部欠損による咀嚼障害と下顎前歯部歯列不正と診断された.矯正治療終了後,すれ違い咬合傾向と咬合高径低下が認められた.プロビジョナルブリッジと治療用義歯によって咬合高径を回復し,インプラントプロビジョナルブリッジにより咬合支持を得て,硬質レジン前装冠ブリッジおよび,陶材焼付前装冠ブリッジにより最終補綴を実施した.
考察:すれ違い咬合傾向を示す本症例においてはインプラントにより適切な下顎位や咬合支持を回復し,難易度の上昇と咬合崩壊のリスクを回避した.
結論:最終補綴により咀嚼機能,審美性の回復,口腔関連QOLの向上が認められた.