2020 年 12 巻 4 号 p. 322-329
神経変性疾患は,アルツハイマー病,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症などを含む,いわゆる神経難病であり,病理学的には神経細胞死と脳内への異常タンパク質の蓄積を特徴としている.現在,それぞれの疾患に対する治療薬は一部存在しているが,病気の進行を阻止するあるいは正常な状態に戻すような根本的な治療法は確立されておらず,口腔機能や摂食嚥下機能の障害に対しても,症状に応じた対応をしていくしかないのが現状であり,個々の患者に応じたきめ細やかな対応が求められる.