2021 年 13 巻 1 号 p. 13-21
口腔インプラント治療における画像診断の重要性は疑う余地もなく,2000年代初頭には情報工学(IT)が導入され,画像診断を立体画像で行うようになった.そして,単なる画像診断にとどまらず,その立体画像上で手術シミュレーションを行い,同時に補綴装置の設計も行うことも可能となっている.さらには,シミュレーションしたインプラントの埋入ポジションを口腔内に再現するためのサージカルガイドの作製をCAD/CAMシステムで行うようになり,手術当日に補綴装置装着まで行う即時修復のシステムも確立されている.さらには,サージカルガイドを使用しないでドリルと顎骨の位置関係をモニター上に投影することのできるダイナミックナビゲーションも開発され,インプラント治療のIT化はより深化するところとなった.そして,新たなステージとして,ロボット手術の開発が進められている.現状では,ロボット手術の臨床応用という段階ではないが,PCのスペックの向上とソフトウェア開発次第で,急速な発展も期待できる分野である.