2021 年 13 巻 3 号 p. 237-240
症例の概要:患者は74歳の女性で,主訴は下顎全部床義歯の動揺による咀嚼困難であった.下顎は無歯顎であり,顎堤は全体的に高度に吸収していた.上顎の残存歯に対する前処置を行った後,診断用義歯として上下顎全部床義歯を製作した.その後,最終義歯として,下顎に2本のインプラントを支台としたオーバーデンチャーを製作した.
考察:本症例では,はじめに診断用義歯を製作し,最終義歯に付与する要件を検討したことにより,良好な経過が得られたと考えられる.
結論:顎堤吸収が著しい下顎無歯顎患者に対して,インプラントオーバーデンチャーにより咬合を回復したことで,咀嚼機能ならびに口腔関連QOLの向上に寄与することができた.