2021 年 13 巻 3 号 p. 241-244
症例の概要:患者は54歳男性.歯の動揺と咀嚼困難を主訴に来院した.重度の歯槽骨吸収のため残存歯の動揺度はいずれも1〜3度で,歯の動揺による咀嚼障害と診断した.長期予後が期待できないと判断した残存歯を抜歯し,上顎に5本,下顎に4本のインプラント体を埋入し,固定式のインプラント支持補綴装置を装着した.補綴装置装着3年7カ月後も,患者は機能的,審美的に満足している.
考察:残存歯のトラブルによる早期の再治療を回避し,安定した口腔内を確立することができたことが,患者の高い満足度に繋がった.
結論:歯の動揺による咀嚼障害が主訴の患者に,予後不良な歯を抜歯後にインプラント支持補綴装置を適用し良好な経過を得た.