2022 年 14 巻 1 号 p. 105-108
症例の概要:63歳女性.義歯の動揺・疼痛・審美障害を訴えて来院した.上下顎部分床義歯は床・クラスプの不適合が認められた.複合型すれ違い咬合を有し,顎堤の著しい吸収や残存歯の動揺が認められた.下顎に対して歯冠を切断し,磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーを適用し,咬合回復を行った.
考察: 下顎に対してオーバーデンチャーを適用し,審美の改善と同時にすれ違い咬合を部分的に解消し,咬合力の抑制を図った.それにより義歯の安定性を改善し,残存歯と顎堤の負担や疼痛を軽減することができた.
結論: 本症例では,すれ違い咬合を部分的に解消することで患者の疼痛が軽減され,咀嚼障害が改善された.