日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
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ISSN-L : 1883-4426
14 巻, 1 号
令和4年1月
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
巻頭言
依頼論文
◆企画:第130回記念学術大会/シンポジウム1 「パーシャルデンチャーデジタル化への現状と課題」
  • 西山 弘崇, 馬場 一美
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

     近年のデジタル・テクノロジーの進歩により歯科においてもCAD/CAM技術を応用した,いわゆるデジタル・デンティストリーの基盤が整った.さらに,口腔内スキャナーによる光学印象が普及したことで補綴治療におけるワークフローは大きく変化した.

     部分床義歯製作においても,印象採得や咬合採得,各構成要素の製作にデジタル技術を応用した報告はされているが,製作ワークフローを部分的にデジタル化しているものがほとんどである.

     本稿では,口腔内スキャナーを用いた光学印象,3DプリンターといったCAD/CAM技術を応用した部分床義歯製作におけるフルデジタル・ワークフローを紹介する.

  • ―研究・臨床・教育での試み―
    田坂 彰規, 山下 秀一郎
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

     CAD/CAM技術が有床義歯補綴分野に普及しつつあり,全部床義歯製作システムが開発され,臨床応用されている.また,CAD/CAM技術でフレームワークを製作することも可能である.口腔内スキャナーに関しては,無歯顎に対しての精度検証および臨床応用が進んでいる一方で,部分歯列欠損では顎堤粘膜に対して加圧印象が必要であるため実用化に至っていないのが現状である.本稿では,これまで当講座で実施してきたCAD/CAM技術を応用したパーシャルデンチャーに関する研究・臨床・教育を中心にまとめ,デジタルデンティストリーのパーシャルデンチャーへの応用の現状と今後の課題を考察する.

  • 笛木 賢治, 稲用 友佳, 髙市 敦士, 村上 奈津子, 和田 淳一郎, 新井 祐貴, 上野 剛史, 若林 則幸
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

     部分床義歯のデジタル化の現状と実用化への課題を見いだすことを目的としてシステマチックレビューを行った.2019年には,作業用模型を用いずに全工程をデジタル技術で部分床義歯製作することが可能であった.しかし,フルデジタル・ワークフローでの製作は,Kennedy Ⅲ/Ⅳ級の少数歯欠損症例に限られていた.デジタル印象採得と咬合採得には口腔内スキャナが使用されていた.CAD/CAMフレームワークについては,日本ではレーザー積層造形法での製作が実用化されている.口腔内スキャナの性能向上,フレームワークと義歯床の連結の精度と耐久性の向上,製作コストの削減が,今後の解決すべき課題といえる.

◆企画:第130回記念学術大会/臨床リレーセッション2 「欠損補綴における補綴装置と支台歯の選択」
  • 大久保 力廣
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

     欠損歯数や欠損様式,支台歯や対合歯の状態だけでなく,歯周疾患罹患度や咬合力に加え,患者の要望やバックグラウンドなどさまざまな要因が最終補綴装置の決定に関与するため,固定性補綴と可撤性補綴の選択に苦慮することは多い.補綴は予後が最も重要であり,短期経過では治療の良否は判断できないことから,長期経過を振り返ってこそ正当な補綴治療の評価が行える.

     そこで,本稿では全顎におよぶ大型の補綴装置を対象として,ブリッジとパーシャルデンチャーの選択について再考する.固定性補綴と可撤性補綴の選択基準に加え,10 〜20年後の口腔内環境と補綴装置に影響を及ぼした因子を術後経過から推察する.

  • ―遊離端欠損回避の恩恵—
    藤関 雅嗣, 四ツ谷 護
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

     臼歯部中間欠損症例における最後臼歯の存在は,対向関係の保持により顎位を安定させ,長期的な補綴装置の維持安定に寄与すると考えられる.欠損様式の観点からは,咬合支持歯として加圧因子の減少,遊離端欠損回避による受圧条件の向上が期待される.本稿では,最後臼歯の残存,すなわち中間欠損の有意性に関して考察したい.その中で,支台歯相互の連結固定効果(一次固定・二次固定)を考慮した支台装置の選択条件,遊離端欠損を中間欠損に改変したインプラントオーバーデンチャー症例の口腔内変化を振り返って,遊離端欠損の為害性についても考えていきたい.

  • 和田 淳一郎
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

     補綴治療後の良好な長期予後を目指すには,治療前に予後不良歯を抜歯することが望ましい.一方で,さまざまな理由から抜歯を回避すべき場合がある.予後不良歯を補綴治療に活用し,さらに保護を目指すためには,多角的な配慮が要求される.予後不良歯を支台歯に含むブリッジでは,将来的なトラブル時の対応が容易な術者可撤式ブリッジが有効である.また,部分床義歯では,支台歯との連結強度の高い設計による残存歯列の固定や,支台歯の歯冠歯根比を改善するための根面板の適用が検討される.予後不良歯を支台歯とする補綴治療では,事前の十分なインフォームドコンセントと,患者・術者双方の高いモチベーションも重要な要素である.

  • 木原 優文, 今井 実喜生, 鮎川 保則
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

     比較的少数歯の中間欠損症例で,ブリッジあるいはパーシャルデンチャーのどちらでも欠損補綴が可能であるような場合,最終補綴装置の選択に迷うことも少なくない.機能性,審美性,清掃性を備え,かつ長期的な使用に耐えうる補綴装置を製作するためには,比較的シンプルな症例であっても様々なことを考慮して選択・設計を行う必要がある.本稿では「少数歯の中間欠損症例における補綴装置の選択」をテーマとし,ブリッジまたはパーシャルデンチャー,あるいはその両方により対処した症例を供覧して補綴装置の選択理由や選択時の考慮事項について述べる.

原著論文
  • 淺野 隆, 續橋 治, 内堀 聡史, 鈴木 浩司, 若見 昌信, 福本 雅彦, 小見山 道
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 14 巻 1 号 p. 52-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    目的:ポリエーテルエーテルケトン(以下PEEK)のマイクロ波加熱処理による変形量とCandida albicans(以下C. albicans)に対する殺菌効果を評価し,義歯床用材料への応用の可能性を検討した.

    方法:(1)PEEKと義歯床用レジンにマイクロ波加熱を加え,変形量を測定した.(2)PEEK上にC. albicansを付着させたものに,義歯洗浄剤,マイクロ波加熱殺菌を行い,生菌数を確認した.同様に(3)PEEK上にC. albicansバイオフィルムを形成させたものに,義歯洗浄剤,マイクロ波加熱殺菌を行い,生菌数を確認した.

    結果:(1)PEEKのマイクロ波加熱による変形量は僅少であり,加熱回数による影響は認められなかった.一方,義歯床用レジンは,加熱する回数の増加に伴って変形量も増加した.(2)PEEKの義歯洗浄剤による殺菌率は99.9%,マイクロ波加熱殺菌では100% であった.(3)PEEKに形成したバイオフィルムの義歯洗浄剤による殺菌率は99.7%,マイクロ波加熱殺菌では99.9% 以上であった.

    結論:PEEKはマイクロ波加熱による変形と殺菌効果に優れており,義歯用材料をはじめとする口腔内アプライアンス材料への応用が期待される.

専門医症例報告
  • 後藤 崇晴
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は72歳の上下顎無歯顎の女性.装着義歯はなかった.下顎歯肉癌術後上下顎無歯顎による咀嚼障害,構音障害,審美障害と診断し,通法どおりの治療ステップで全部床義歯による治療を行った.

    考察:本症例では,下顎歯肉癌術後の顎堤の支持域は不足していたが,下顎義歯の安定を優先し,床縁,研磨面形態,人工歯排列を考慮し,安定を阻害する因子を排除できたことで,主観的にも客観的にも高い患者満足度を得ることができたと考える.

    結論:残存組織を活用し術後の口腔内の形態に調和した全部床義歯による顎補綴治療を行い,機能的にも審美的にも改善を認め,患者のQOL向上に寄与することができた.

  • 笠原 隼男
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は85歳の女性.残存歯は上顎左側犬歯のみであった.下顎に高度な顎堤吸収が認められ,床形態・咬合高径ともに不適切な義歯を使用していた.下顎義歯の破損を修理し,その複製義歯を治療用義歯として義歯床形態と咬合高径を修正し,それに患者が順応できることを確認した後に最終義歯を製作した.

    考察:複製義歯を用いて形態修正・咬合挙上に順応できることを確認した後に,その形態を基に最終義歯を製作したところ,患者は新しく付与された形態や高径に問題なく使用することができた.

    結論:床形態や高径の変更が大きく,補綴的前処置が必要な場合,治療用義歯として複製義歯を用いることは有用であった

  • 加藤 由佳子
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は71歳女性.転倒にて前歯部歯根破折が生じ,審美不良と咀嚼困難を主訴に来院.初診科にて 71|12567 即時義歯を装着したが全顎的な補綴歯科治療が必要と判断され,補綴科へ依頼された.咬合支持は左側の上下顎小臼歯のみであり,前歯部のデンチャースペースの減少を認め解剖学的に咬合高径が低下して いた.咬合挙上と全顎的補綴歯科治療を行うことで咀嚼機能の回復と審美性の改善を図った.

    考察:下顎安静位を参考に咬合挙上した補綴装置の製作を行ったことにより咬合支持が回復し咀嚼能力が向上した.さらに,アタッチメントを利用した設計による審美性の向上を認められた.

    結論:全顎的補綴歯科治療を行ったことにより患者のQOLが向上し,良好な結果が得られた.

  • 沼澤 美詠
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は67歳女性.下顎全部床義歯の動揺による咀嚼困難を主訴に来院した.下顎の顎堤は骨吸収によりヒモ状を呈しており,|12 の動揺によりオーバーデンチャーの維持は不良であった.|12 を抜歯し下顎に2本のインプラントを埋入後,根面アタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャーを装着した.

    考察:装着中の義歯の形態を利用してインプラントの埋入位置を決定し,根面アタッチメントを用いた最終補綴装置を製作し維持を得たことで咀嚼機能が改善した.

    結論:下顎がヒモ状顎堤を呈する無歯顎患者に2本のインプラントと根面アタッチメントを応用したインプラントオーバーデンチャーを装着したことで良好な結果が得られた.

  • 松田 岳
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は初診時52歳の女性.2010年10月に咀嚼困難を主訴に来院した.下顎両側臼歯欠損による咀嚼障害と診断し,臼歯欠損部の歯列回復と過蓋咬合および低位咬合の改善を目的に,スプリント型の治療用義歯を装着した.機能的な問題がないことを確認し,下顎臼歯部へのインプラント治療と全顎的に歯冠補綴治療を行った.

    考察:治療希望を踏まえた咬合挙上による段階的な治療計画によって,咀嚼機能の改善と維持に努め,患者の高い満足度を得ることができた.

    結論:過蓋咬合で下顎両側臼歯が欠損し,補綴空隙が不足している患者に対し,インプラント補綴と歯冠補綴を用いて咬合再構成を行い,患者のQOL向上に貢献できた.

  • 森 隆浩
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は72歳男性,初診5年前右側下顎歯肉癌治療を目的とする下顎区域切除後から食事が困難であることを主訴に来院した.顎骨は再建されず,下顎骨は右側へ偏位し,左側の咬合接触は喪失していた.下顎を左側に誘導するパラタルランプを付与した上顎義歯および下顎義歯を製作するとともに,栄養補助食品を摂取するよう指導した.義歯装着後,患者の食事時間は短縮し,体重および最大舌圧は増加した.

    考察:補綴装置による十分な咀嚼機能の回復が困難な患者に対しては,栄養状態の管理が重要と考える.

    結論:顎義歯の製作と栄養指導は,咀嚼機能の維持および栄養状態の改善に有効であった.

  • 髙場 雅之
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は59歳女性.反対咬合による審美不良と臼歯部欠損による咀嚼困難を主訴に来院した.治療用義歯を装着し,咬合挙上および咬合再構築を行った後,上下顎左右臼歯部はインプラントによる歯冠補綴を行い,上顎前歯部はオールセラミッククラウンによる審美的改善を行った.

    考察:インプラント補綴による咬合支持の獲得と上顎前歯部の歯冠補綴による審美的改善によって,口腔関連QoLの向上に大きく寄与することができた.

    結論:審美障害と咀嚼障害に対して,インプラント補綴と残存歯の歯冠補綴により良好な治療結果を得ることができた.

  • 家持 剛
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は73歳女性.右下中切歯の動揺による咀嚼困難を主訴に来院した.義歯の適合不良,全顎的な水平性骨吸収,クラウン辺縁の二次齲蝕,下顎前歯部の叢生,咬合平面の乱れが認められた.矯正治療とプロビジョナルレストレーションによる咬合平面の修正を行ったうえで,上顎はコーヌスクローネ義歯,下顎は陶材焼付冠ブリッジを製作し,咬合再構成を行った.

    考察:強固な二次固定効果が得られるコーヌスクローネ義歯により良好な義歯の維持・安定が得られた.

    結論:矯正治療,ブリッジおよびコーヌスクローネ義歯を組み合わせて咬合再構成を行い,安定した予後を得ることができた.

  • 五十嵐 一彰
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 93-96
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:73歳の女性,全部床義歯の脱離により食事が困難であることを主訴に来院した.使用中の義歯は過小であり,口腔内所見としては舌の肥大および頰粘膜の内側への突出が認められた.フレンジ法および天然歯列に準じた人工歯排列により新製した全部床義歯を装着した.

    考察:舌および口腔周囲筋の機能と調和した義歯床研磨面形態の設定ならびに人工歯排列を行うことで義歯の安定に寄与し,良好な予後をもたらしたものと推察された.

    結論:舌および口腔周囲筋の肥大を伴う無歯顎患者における補綴治療において,フレンジ法および天然歯列を考慮した人工歯排列により新製した全部床義歯は,咀嚼機能の回復および維持に有効であった.

  • 浦野 絵里
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:76歳女性.下顎義歯不適合および 21| 疼痛による咀嚼困難を主訴として来院した.21| 残根上にオーバーデンチャーが装着されており,21| に動揺を認めた.下顎両側臼歯部は顎堤吸収が著しく,義歯は不安定であった.21| 抜歯の同意を得た後,2本のインプラントを支台とするインプラントオーバーデンチャーを装着した.

    考察:残存歯を保存することによりインプラント埋入直後の創面保護が可能となった.磁性アタッチメントによるインプラントオーバーデンチャーは,高齢患者にも義歯着脱が容易であった.

    結論:高度な下顎顎堤吸収の症例に対し,インプラントオーバーデンチャーを適用し,良好な予後が観察された.

  • 福岡 拓郎
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は36歳女性.上顎前歯の審美障害を主訴に来院した.咬合干渉を伴う重度歯周炎と診断し,保存不可能の歯と,咬合干渉の原因と思われる歯の抜歯を行い,歯周治療後に咬合位の評価を行った後,インプラント補綴にて審美性と咬合の回復を図った.

    考察:咬合干渉の部位を特定するために,咬合位の評価を咬合器にて行った.歯周治療の再評価時に咬合位の再評価も行うことで,正確なインプラント補綴の治療計画を立案でき,良好な治療結果に繋がったと考えられる.

    結論:顎運動偏位が引き起こした審美障害の患者に対して咬合器を用いた咬合位の評価を行いながら,インプラント補綴治療を行うことで,主訴の改善と良好な経過を得た.

  • 馬場 優也
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/19
    ジャーナル フリー

    症例の概要:63歳女性.義歯の動揺・疼痛・審美障害を訴えて来院した.上下顎部分床義歯は床・クラスプの不適合が認められた.複合型すれ違い咬合を有し,顎堤の著しい吸収や残存歯の動揺が認められた.下顎に対して歯冠を切断し,磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーを適用し,咬合回復を行った.

    考察: 下顎に対してオーバーデンチャーを適用し,審美の改善と同時にすれ違い咬合を部分的に解消し,咬合力の抑制を図った.それにより義歯の安定性を改善し,残存歯と顎堤の負担や疼痛を軽減することができた.

    結論: 本症例では,すれ違い咬合を部分的に解消することで患者の疼痛が軽減され,咀嚼障害が改善された.

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