2022 年 14 巻 3 号 p. 231-236
前歯部CAD/CAM冠は,エナメル色とデンティン色および移行色を含んだグラデーションを有するブロックを使用することで,良好な審美性が再現されている.症例選択では,十分なクリアランスと維持力が見込め,支台歯の色調が良好で,臼歯部の安定した咬合支持が得られている症例が適応となる.支台歯形成では滑沢かつ単純な形態と明瞭なディープシャンファーが推奨される.接着操作では口腔内試適後のクラウン内面へのアルミナブラストとシラン含有プライマー処理,支台歯は適切な清掃後に歯質用プライマーを塗布し,接着性レジンセメントで装着することが求められる.これらの処理を確実に行うことで,安全・安心な歯科医療が確立できる.