日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
Print ISSN : 1883-4426
ISSN-L : 1883-4426
14 巻, 3 号
令和4年7月
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
巻頭言
依頼論文
◆企画:第130 回記念学術大会╱医療問題検討委員会連携企画 「前歯にも保険適用されたCAD/CAM 冠の安全な使い方」
  • 新谷 明一
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

     前歯部CAD/CAM冠は,エナメル色とデンティン色および移行色を含んだグラデーションを有するブロックを使用することで,良好な審美性が再現されている.症例選択では,十分なクリアランスと維持力が見込め,支台歯の色調が良好で,臼歯部の安定した咬合支持が得られている症例が適応となる.支台歯形成では滑沢かつ単純な形態と明瞭なディープシャンファーが推奨される.接着操作では口腔内試適後のクラウン内面へのアルミナブラストとシラン含有プライマー処理,支台歯は適切な清掃後に歯質用プライマーを塗布し,接着性レジンセメントで装着することが求められる.これらの処理を確実に行うことで,安全・安心な歯科医療が確立できる.

  • 吉田 圭一
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 3 号 p. 237-243
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

     CAD/CAM冠は,2014年4月に小臼歯に最初に保険収載され,大臼歯,そして2020年9月に前歯にも保険適用となり,単冠の歯冠補綴装置の一選択肢になった.

     前歯17症例に装着したCAD/CAM冠の臨床的評価を行った結果,平均2年8か月でクラウンの脱落は認められなかった.

     CAD/CAM冠の長期生存率を高めるためには,安全な症例の選択,適切な支台歯形態と形成量,適合を高めるための設計,そして確実な接着操作の4つのポイントを押さえた臨床術式を確実に行う必要がある.冠内面を0.2 MPaの噴射圧でアルミナブラスティングし,リン酸で清掃後,シランカップリング剤とMDP含有のセラミックプライマーを塗布しレジンセメントで装着するのが望ましい.

  • 田上 直美
    原稿種別: 依頼論文
    2022 年 14 巻 3 号 p. 244-249
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

     日本におけるCAD/CAM冠の歯科医療保険収載は,2014年の小臼歯部への適用を皮切りに始まった.同年,公益社団法人日本補綴歯科学会医療問題検討委員会は,「保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2014」を作成し,CAD/CAM冠を用いた補綴歯科診療方針の詳細を,学会ホームページにて会員に,診療報酬改定関連セミナー等を通じて広く歯科医療従事者に報知した.その後,保険収載が大臼歯や前歯部へ拡大したことを受け,同委員会は改めて2020年に「保険診療におけるCAD/CAM 冠の診療指針2020」を作成した.本解説では,診療指針2014を基本としつつ大幅に改訂された診療指針2020の概要についてまとめる.

◆企画:第130 回記念学術大会╱イブニングセッション5 「歯科金属アレルギー患者への対応〜検査,診断,治療方針と他科連携~」
調査・資料
  • -保険収載から5年経過した2021年の現状-
    佐藤 裕二, 古屋 純一, 下平 修
    原稿種別: 調査・資料
    2022 年 14 巻 3 号 p. 259-263
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    目的:2016年歯科診療報酬改定において,歯冠補綴時色調採得検査,有床義歯咀嚼機能検査,舌圧検査が健康保険に導入された.そこで,最新の専門医症例報告論文において,どのような機能検査が行われた記載があるか調査した.

    方法:日本補綴歯科学会誌13巻1号(2021年1月発行)から13巻4号(2021年10月発行)に掲載された専門医症例報告論文39編について,補綴関連機能検査の記載状況を調査した.

    結果:咀嚼機能検査としては,3種類の主観的評価(摂取可能食品)のどれかを行っているのが14編(36%)であり,客観的評価はグミセリーを用いたのが10編(26%)であった.咬合圧(力)の検査はプレスケールを用いたのが6編(15%)であり,バイトアイが2編(5%)であった.そのほかの検査としては発音・嚥下に関する検査がわずかに行われていた.満足度評価の3種類のうちのどれかが行われているのが10編(26%)であった.もっとも多かったのは,QOL評価としてのOHIP-Jであり,25編(64%)であった.

    結論:歯科補綴関連機能検査は,QOL評価は64%で実施されていたが,主観的咀嚼機能評価(36%),客観的咀嚼機能評価(26%),咬合圧検査(20%)は少ないことが明らかになった.

専門医症例報告
  • 小田島 優
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 265-268
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は54歳の女性.上下顎左右臼歯部欠損による咀嚼不良および上顎ブリッジ不備による審美不良を主訴に受診された.臼歯部補綴スペースの減少,および咬合平面の不調和を認めた.患者は可撤性義歯治療に抵抗があり,インプラント治療を希望した.上下顎左右臼歯部欠損部へのインプラント治療により咬合高径を是正したうえで補綴歯科治療を行った.

    考察:装着後,5年経過した現在も破折,脱離などの問題は認めず,患者は満足していることから,良好な経過を得ていると考えられる.

    結論:咬合高径低下を伴う臼歯部欠損に対してインプラント補綴治療を用いて咬合挙上し,最終補綴を行ったことで長期的に良好な結果が得られたと考えられる.

  • 猪越 正直
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 269-272
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:70歳の男性.上顎前歯欠損に対して装着したプロビジョナルレストレーション不適合に伴う審美不良,咀嚼困難を主訴に来院した.咬合挙上後,上顎 6+5 短縮歯列のクロスアーチブリッジ,下顎前歯部コンポジットレジン修復,下顎左右小臼歯歯冠修復,下顎右側大臼歯部に片側性部分床義歯を製作した.

    考察:約3年3カ月経過後,プラークコントロールは極めて良好で,大きな問題なく経過している.術後,口腔関連QoLの改善が認められた.

    結論:適切な咬合高径とアンテリアガイダンスを設定することで,機能回復と予知性を獲得し,上顎への短縮歯列の適用により違和感の少ない口腔内環境を構築し,高い満足度が得られた.

  • 勅使河原 大輔
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 273-276
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は79歳の女性.上顎左側臼歯部顎堤部に生じた扁平上皮癌に対し,上顎部分切除術が計画され,補綴科を術前受診した.術後早期からの顎口腔機能回復を目的に術後即時顎補綴装置(immediate surgical obturator,以下ISO)を製作,術直後より装着した.術後3週目より口腔リハビリテーションを開始し,術後2カ月で術前と同程度の食形態が摂取できるまで回復した.

    考察:術前からの補綴的介入,マルチディシプリナリーアプローチによる医療連携および適切な手順を踏まえた補綴装置の製作により,術後の口腔リハビリテーションを円滑に行うことができた.

    結論:人工歯を排列したISOの装着は,口腔腫瘍切除後の顎欠損を有する患者のQOLの改善に貢献できることが示唆された.

  • 齋藤 祐太
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 277-280
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:75歳男性.義歯が外れやすく,食事がしにくいことを主訴に来院した.上顎は無歯顎で,左側に顎欠損を認め,皮弁による再建が行われていた.顎義歯の維持は得られていなかったため,新義歯を製作することとした.栓塞部は欠損部のアンダーカットまで延長し,中空型とした.

    考察:欠損部アンダーカットへの中空型栓塞部の延長による顎義歯の維持・安定の獲得と,適合性の改善,顎義歯の軽量化による維持力の向上が良好な結果に繋がったと考えられた.

    結論:顎欠損により皮弁での再建を行った無歯顎症例において,欠損部アンダーカットに維持を求め,中空型栓塞部を用いたことで良好な経過が得られた.

  • 佐藤 光一
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 281-284
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は75歳の男性.上下顎全部床義歯を使用していたが,下顎全部床義歯の不安定による咀嚼困難を主訴に来院した.口腔内には著明な下顎隆起が認められ,それに伴うアンダーカットの存在により義歯床の辺縁封鎖が困難な状態であり,維持力が低下していると判断した.歯槽骨整形術の施行後,上下顎全部床義歯を製作した.

    考察:下顎隆起を切除し,通法の下顎全部床義歯製作手順により適切な義歯床形態が付与できたため,義歯の維持・安定が得られたことが良好な機能回復につながったと考えられる.

    結論:顎堤吸収が軽度で著明な下顎隆起を有する症例では,外科的前処置を検討するべきである.

  • 池田 欣希
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 285-288
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は61歳の女性.歯の動揺を主訴に来院した.重度歯周炎による歯の動揺に起因する咀嚼障害と診断し,保存不可能な歯を抜歯し,治療用義歯を装着した.歯周外科手術後,上下顎に磁性アタッチメントを使用したオーバーデンチャーを装着したことにより咀嚼機能は改善した.治療終了後5年8か月経過し,顎位および残存歯の歯周組織は安定している.

    考察:残存歯の動揺の改善には,歯周治療に加えてオーバーデンチャーにすることで支台歯の歯冠歯根比を改善し,支台歯に対する側方力を減じたことが有効であったと考えられる.

    結論:磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーの装着により長期的に良好な経過が得られた.

  • 羅 広煇
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 289-292
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は67歳女性.義歯維持不良による咀嚼障害を主訴に来院.コンビネーションシンドロームの兆候を認めたため,下顎前歯部をメタルコーピングにて修復し,治療用義歯を製作した.その後,最終補綴装置として上下顎金属床義歯を完成させた.

    考察:オーバーデンチャーとすることで咬合位や義歯の安定が得られ,義歯に対する満足度や咀嚼スコアが改善した.また,治療用義歯から製作した複製義歯を用いて,FGPテクニックと咬合圧印象を応用することで,患者固有の下顎機能運動に調和した咬合面形態をフレームワークに付与することができた.

    結論:コンビネーションシンドロームに対してオーバーデンチャーにて治療することが有効であったことが示唆された.

  • 佐々木 圭太
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 293-296
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:43歳女性.近医にて保存困難と診断された上顎前歯部欠損補綴に関して,セカンドオピニオンを受けるために来院した.抜歯後の欠損部顎堤形態の不整を認めたために,顎堤形成術施行後,最終補綴装置を装着した.

    考察:顎堤形態の回復のために,顎堤形成術およびプロビジョナルレストレーションを用いて審美性,機能性および清掃性の確認した後に,審美性と生体親和性の高いジルコニアを用いることで,メインテナンス性の高い長期的に安定した予後が得られた.

    結論:抜歯後の顎堤形態の変化に対して,適切な診断のもと,明確な治療成果を見据えた治療計画が必要であると考えられた.

  • 鈴木 奈月
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 297-300
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:63歳男性.下顎左側臼歯部のブリッジ脱離,全顎に及ぶ過度な咬耗による咀嚼困難および審美不良を主訴に来院した.咬合高径の低下,補綴空隙の不足に対し,可撤性治療用義歯を用いて咬合拳上を行った.最終的に,固定性および可撤性補綴装置を製作した.

    考察:治療用義歯を用いて咬合挙上を行い患者の新しい咬合高径への適応を判断することで,患者に適した咬合回復を安全かつ確実に行うことができたと考えられる.

    結論:過度な咬耗を伴う部分歯列欠損を有する患者に対し,咬合挙上を行い十分な補綴空隙を確保することは,機能性と審美性の回復に有効な手段であることが示唆された.

  • 佐藤 航
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 301-304
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は77歳の男性.食事や会話の際に義歯が外れやすいことを主訴に来院した.義歯床研磨面形態および人工歯排列位置の改善を目的に総義歯を製作した.

    考察:本症例では,ピエゾグラフィーを応用してデンチャースペースを決定し,義歯形態を舌および口腔周囲筋と機能的に調和するように配慮したことが,良好な予後につながったと考えられる.

    結論:本症例では,新義歯の製作において,ピエゾグラフィーを応用して人工歯排列位置および義歯床研磨面形態を決定した結果,良好な経過が得られた.

  • 浦田 健太郎
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 305-308
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は 54歳女性.上顎前歯部の動揺と疼痛による咀嚼障害を主訴に来院した.咬合平面の不整,臼歯部咬合支持域の低下および下顎運動の制限を認めた.ゴシックアーチ描記法による下顎運動の客観的評価を治療の段階ごとに行い,下顎運動の改善後に,プロビジョナルレストレーションの咬合と形態を移行した上顎クロスアーチブリッジの装着を含む咬合再構成を行った.

    考察:下顎運動の改善と咬頭嵌合位の安定を得たことが,最終補綴装置の長期の安定をもたらしたと考える.咬合再構成時は,術者と患者の主観的評価だけでなく客観的評価が重要と考えられる.

    結論:咬合再構成時の下顎運動の客観的評価としてゴシックアーチ描記法は有効である.

  • 近藤 尚知
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 309-312
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は68歳の男性.上顎の歯の動揺による咀嚼困難を主訴に来院した.初診時,上顎残存歯のほとんどが重度の歯周炎に罹患し,動揺も認めたが,咬合支持は維持されていた.上顎の歯はすべて抜去し,同時に天然歯の歯列を模し,咬合高径を維持した即時義歯を装着した.装着した総義歯を暫間補綴装置に利用し,インプラント即時修復治療を行い,咬合高径を維持したまま最終補綴に移行し,治療を終えた.

    考察:現在のところ経過良好であるが,咬合の変化等に注意しながら定期的に経過観察を行っていく必要がある.

    結論:本症例では,抜歯前の歯列形態を模し咬合高径を維持しながら補綴処置を行ったことが,良好な結果を得た一因と考える.

  • 荒木 厚詞
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 313-316
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は73歳の女性で義歯の不適合に起因する咀嚼困難を主訴に来院した.臼歯部に咬合支持がなく,いわゆるすれ違い咬合であった.適切な咬合平面を設定した後,上顎に根面アタッチメントを用いたオーバーデンチャー,下顎に歯冠外アタッチメントを用いた可撤性義歯による最終補綴装置を装着した.

    考察:オーバーデンチャーを使用することによって,歯根膜粘膜支持と咬合平衡を得て咀嚼機能および審美障害の改善を図ることができた.

    結論:適正な前処置の後に金属床義歯を装着することにより義歯の安定性が得られ,良好な評価と,長期の維持につながったと考える.

  • 田中 健久
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 317-320
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:67歳男性.入れ歯が痛くてかめないとのことを主訴に来院した.まず,咬合平面および調節彎曲の修正を目的に治療用義歯を製作した.咬合調整を繰り返し,中心位での安定したタッピングが得られるよう調整した.咬合が安定し,治療用義歯での咀嚼が可能になったため,治療用義歯の形態を可及的に踏襲して最終義歯の製作を行った.

    考察:治療用義歯にて中心位でのタッピングによる咬合調整で義歯の安定を図り,その形態を移行することで予知性の高い最終補綴装置の製作が可能であり,口腔関連Quality of Lifeと義歯に対する満足度の改善ができた.

    結論:治療用義歯を用いて咬合の安定を確認しながら補綴装置の製作を行うことで良好な結果を得ることができた.

  • 伊藤 隼
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 321-324
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は59歳女性.上顎前歯部の疼痛による咀嚼困難を主訴に来院.2|16| の歯根破折と全顎的な咬耗を認めた.ブラキシズムによる過大な咬合力を疑い,治療期間中および上部構造装着後とも口腔内装置の装着を継続させながら,口腔インプラントによる補綴歯科治療を実施した.

    考察:口腔インプラント治療を開始する前に口腔内装置の装着が可能であることを確認し,最終上部構造装着後も口腔内装置装着を継続したことにより良好な経過を得たものと考えられた.

    結論:本症例では治療期間中も含めた力のコントロールへの配慮が重要であった.

  • 保田 啓介
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 325-328
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は20歳女性,上顎埋伏犬歯による歯根吸収から上顎4前歯が抜歯となった欠損に対し,上顎中切歯の位置に埋伏犬歯を開窓・矯正移動し,陶材焼付ジルコニアブリッジにて審美・機能回復を行い,3年以上にわたる良好な結果を得た.

    考察:レジン接着固定式カンチレバーブリッジが多数臨床応用されているが,本症例においては上顎中切歯の位置に植立されていたのが犬歯であったことから,歯根膜負担能力がより高く,良好な予後が得られたと考える.

    結論:カンチレバーブリッジを用いることで歯質の過剰な切削を避け,長期に安定した審美的で機能的な回復が可能であることが示唆された.

  • 石田 雄一
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 329-332
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は60歳の女性で,咀嚼困難を主訴に来院した.全身性関節リウマチの加療中であり,顎関節の変形に起因する開咬と咀嚼時の顎関節の疼痛を認めた.開咬の程度が増悪する可能性が考えられたため,金属床型オーラルアプライアンス(以下,Oral appliance: OA)による咬合接触と咀嚼機能の回復を行った.

    考察:咀嚼や嚥下に配慮した金属床型OAを用いることで食事時の顎関節への負担が軽減し,顎関節の疼痛が消失したと考えられた.

    結論:変形性顎関節症とそれに起因する開咬による咀嚼障害に対して,金属床型OA による機能回復を行い,咀嚼時の顎関節の除痛と高い患者満足度が得られた.

  • 堀部 耕広
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 14 巻 3 号 p. 333-336
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/28
    ジャーナル フリー

    症例の概要:76歳の男性.6| の動揺,義歯床下粘膜の疼痛と下顎義歯床下粘膜への食渣の停滞を主訴に来院した.下顎の顎堤吸収は著しく,義歯の維持・安定は不良であった.複製義歯を使用して上下顎総義歯の製作を行い,下顎には軟質リラインを行った.

    考察:複製義歯を用いたフレンジテクニックにより,旧義歯の情報も参考に適切な人工歯排列位置や研磨面形態を決定でき,人工歯と床研磨面形態が周囲筋と調和し,義歯の安定に有用であった.また軟質リラインを応用することで下顎床下粘膜の疼痛を改善できたと考えられる.

    結論:下顎が高度に吸収した症例に対して,複製義歯によるフレンジテクニックと軟質リライン材を応用した結果,機能回復を行うことができた.

feedback
Top