目的:2016年歯科診療報酬改定において,歯冠補綴時色調採得検査,有床義歯咀嚼機能検査,舌圧検査が健康保険に導入された.そこで,最新の専門医症例報告論文において,どのような機能検査が行われた記載があるか調査した.
方法:日本補綴歯科学会誌13巻1号(2021年1月発行)から13巻4号(2021年10月発行)に掲載された専門医症例報告論文39編について,補綴関連機能検査の記載状況を調査した.
結果:咀嚼機能検査としては,3種類の主観的評価(摂取可能食品)のどれかを行っているのが14編(36%)であり,客観的評価はグミセリーを用いたのが10編(26%)であった.咬合圧(力)の検査はプレスケールを用いたのが6編(15%)であり,バイトアイが2編(5%)であった.そのほかの検査としては発音・嚥下に関する検査がわずかに行われていた.満足度評価の3種類のうちのどれかが行われているのが10編(26%)であった.もっとも多かったのは,QOL評価としてのOHIP-Jであり,25編(64%)であった.
結論:歯科補綴関連機能検査は,QOL評価は64%で実施されていたが,主観的咀嚼機能評価(36%),客観的咀嚼機能評価(26%),咬合圧検査(20%)は少ないことが明らかになった.
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