2022 年 14 巻 4 号 p. 379-382
症例の概要:76歳男性.「上顎の入れ歯が動いて食べづらい」という主訴で来院した.下顎前歯部には著しい咬耗を認め,対向関係は上顎前歯部顎堤に咬合接触する過蓋咬合であった.
考察:安静空隙内の咬合挙上を金属床による部分床義歯で行い,上顎臼歯部の舌側咬頭には,金属床部分を拡大し咬合接触を付与させた.経年的変化の少ない金属歯を応用することによって,咀嚼機能の回復と審美的要望が長期的に維持されたと考えられる.
結論:著しい咬耗歯列の前歯部欠損症例に対して,二次固定効果や咬耗歯列の進行抑制を考慮した金属床義歯による補綴治療を行い,良好な予後を認めた.