超高齢社会の進展に伴い,介護を必要とする者かつ口腔機能の低下した者の増加が予測されている.このような患者に対して,通院できないから仕方がなく訪問する,のではなく,生活や人生をサポートするために敢えて積極的に歯科訪問診療を実施し,補綴診療を行う,という考え方が必要となってきている.患者の看取りへの道のりは,大きく3つに分かれるとされているが,歯科として関わりは,看取りへの短期集中,補綴とリハビリ支援,長く支えて義歯使用中止の判断まで実施,など,それぞれ大きく異なり,状況を把握したうえでの適切な判断が必要となる.またその際は,訪問看護師をはじめとする多職種との連携が必要不可欠である.