日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
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ISSN-L : 1883-4426
15 巻, 2 号
令和5年4月
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
巻頭言
依頼論文
◆企画:第131回学術大会/シンポジウム3「補綴治療は患者の何を改善できるか?:臨床アウトカムを多角的に評価する」
  • 高阪 貴之
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     歯科治療にはさまざまなゴールが存在するが,補綴歯科治療においては,「失われた口腔機能の回復」が主なゴールであると考えられる.口腔機能の中でも,咀嚼機能には,食物を細分化すること以外に,口腔内の感覚を総動員して「おいしさ」を楽しむなど,さまざまな目的がある.咀嚼機能の低下により食習慣が偏り,栄養バランスが悪化すると,最終的には全身的な健康が悪化することから,咀嚼機能は生命を維持するうえで必要不可欠な機能であるといえる.

     本稿では,筆者がこれまで得てきた咀嚼機能に関する知見を一部紹介するとともに,全身の健康の入り口として,咀嚼機能を維持することの意義を伝えたいと考えている.

  • 岩崎 正則
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 158-163
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     現在歯数の多寡のみではなく,義歯の使用や適合状態が食・栄養状態と関連していることが観察研究から報告されている.観察研究からの知見では「補綴治療を行い口腔の機能を改善させたとき,それが食・栄養状態の改善にも寄与するか」という問いに答えることはできない.このトピックについては長らくエビデンスが不足していたが,近年,優れた介入研究結果が報告され,補綴治療と栄養指導の組み合わせが食・栄養状態の改善に効果的であることが示唆されている.本稿では補綴治療のアウトカムとして食・栄養を設定し,これまでのエビデンスを整理するとともに,今後の課題・展望について触れてみたい.

  • 内藤 真理子
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     医療を評価するうえで,主観的指標の重要性が注目されている.代表的な主観的指標として,生活の質(Quality of Life:QOL)や症状,満足度などが挙げられる.QOLは広く使用されている言葉であるが,その定義や概念は専門分野によってさまざまである.

     本稿は,臨床アウトカム指標のひとつである口腔関連QOLおよびQOL評価について理解を深めることを目的としている.口腔関連QOLの定義を概説し,評価の意義について述べる.評価に使用する尺度開発の方法や評価の留意点について触れる.QOL指標の特徴をふまえながら適切な評価を行い,幅広い分野での成果還元に繋げていくことが今後いっそう求められるだろう.

◆企画:第131回学術大会/シンポジウム4「若手からベテランまで!補綴歯科領域におけるシステマティックレビュー入門」
  • 笛木 賢治, 稲用 友佳
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     システマティックレビュー(SR)とは,系統的で明確な方法により臨床的な疑問を定式化して,関連する研究の特定,選択,批判的吟味,および採用した研究から情報を抽出して定性・定量的に解析するレビューである.SRは,方法が明確化され透明性が高く,客観的に結果の批判的吟味を行う.そのため,結論のエビデンスレベルが高い.SRは,根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine) の実践と診療ガイドラインの基盤としてだけでなく,二次研究としての意義がある.本論文では,SRの特徴と実施プロセス,論文執筆のための基礎知識を概説する.

  • 前川 賢治
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     システマティックレビュー(SR)は,その統合のプロセスが定性的にのみ行われるか,定量的評価も加えられるかにより大別されるが,本稿では定性的SR に焦点をあてる.どちらのSRも,あるクリニカルクエスチョンに対するその時点での結論を導き出すものであり,過去の経験的エビデンス収集のための作法は同一である.しかし,定性的SRでは統計学的統合は伴わずに,各一次研究の質的評価,批判的吟味を実施し,各エビデンスのプロファイルを明示したうえで結論を導く.本稿では,定性的SRを進めるにあたり,PRISMAフローダイアグラムの各ステップにおいて配慮,注意すべき点について,実例も含めて解説を行う.

  • 峯 篤史
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 182-188
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     「どの材料が優れているか」を思案する機会は,幾度となくある.その明確な結論が1論文から導き出されることは稀であり,複数の論文を目の前にして立ち止まることになる.また,「治療がどれくらいもつのか」という問いに対する答えに窮することも少なくない.臨床エビデンスを求めても,有益な臨床アウトカムは存在しない場合が多い.本稿ではこのような現実を念頭において,材料研究における基礎研究および臨床研究のレビューについて解説する.そのうえで,「接着性材料の臨床的有効性を基礎研究(接着試験)で予測できるか.」を考えたい.さらに,筆者がレビュー執筆の際に経験したエピソード,工夫したポイントを紹介したい.

◆企画:第131回学術大会/臨床リレーセッション2「補綴医が知っておきたい歯科訪問診療の基礎知識」
  • 猪越 正直, 水口 俊介
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 189-194
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     日本は超高齢社会となっており,歯科訪問診療の需要が増加している.歯科訪問診療では,主に有病高齢者の歯科治療を行うことが多いため,全身疾患に関する適切な知識を理解しておく必要がある.本論文では,実際に歯科訪問診療での症例を供覧し,脳血管障害,心房細動,認知症,パーキンソン病についての理解を深めるとともに,医科担当医との連携に必須な診療情報提供書の書き方,カンファレンスの重要性,モニタリングの実際について解説する予定である.本論文が,安心,安全な歯科訪問診療の実践に役立てば幸いである.

  • 猪原 健
    原稿種別: 依頼論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 195-201
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

     超高齢社会の進展に伴い,介護を必要とする者かつ口腔機能の低下した者の増加が予測されている.このような患者に対して,通院できないから仕方がなく訪問する,のではなく,生活や人生をサポートするために敢えて積極的に歯科訪問診療を実施し,補綴診療を行う,という考え方が必要となってきている.患者の看取りへの道のりは,大きく3つに分かれるとされているが,歯科として関わりは,看取りへの短期集中,補綴とリハビリ支援,長く支えて義歯使用中止の判断まで実施,など,それぞれ大きく異なり,状況を把握したうえでの適切な判断が必要となる.またその際は,訪問看護師をはじめとする多職種との連携が必要不可欠である.

原著論文
  • 林 邦彦, 木原 琢也, 井川 知子, 平井 真也, 重田 優子, 重本 修伺, 小川 匠
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 202-210
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    目的:本研究では,咬合の高さを測定可能な計測用咬合器を開発し,CAD/CAMによって製作したレジンジャケットクラウンの咬合の高さをロストワックス法と比較評価した.

    方法:異なる経験年数の歯科技工士3人によりロストワックス法にて全部金属冠を製作した.ハイブリッド型コンポジットレジンを材料としたレジンジャケットクラウン(以下,CAD/CAM冠)は異なる形状のディスクとブロックを用いて製作した.それぞれ計測用咬合器にて咬合の高さを計測し,全部金属冠と比較した.

    結果:計測用咬合器の繰り返し平均高さは−0.6±0.7 µmと高い精度を有した.全部金属冠の咬合の高さは経験年数20年の歯科技工士が最も標準偏差が小さく−59±6 µmであった.CAD/CAM冠の咬合の高さはブロック形状の加工にて最も標準偏差が小さく125±18 µmであり全部金属冠の咬合の高さよりも高いことが明らかとなった(p<0.05).

    結論:本研究において,CAD/CAM冠の咬合の高さはロストワックス法で製作した全部金属冠と比較して咬合の高さが平均154 ~270 µm高くなる傾向がみられた.また,加工材料形状を検討することで安定した製作が可能になることが明らかとなった.

  • 安部 道, 近藤 尚知, 田邉 憲昌, 佐藤 宏明, 福徳 暁宏, 深澤 翔太
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 15 巻 2 号 p. 211-218
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    目的:スキャナーヘッドのサイズが異なる3種類の口腔内スキャナーを使用して,多数歯欠損を想定したインプラントボールアバットメント間における距離の真度,精度の比較検討を行い,口腔内スキャナーの精確性に関してスキャナーヘッドが与える影響を評価することを目的とした.

    方法:下顎インプラント実習用模型にインプラント体を4本埋入し,舌側部に校正用基準球を設置した模型を本研究のマスターモデルとした.マスターモデルのインプラント体にボールアバットメントを装着後,接触式三次元座標測定機による三次元計測を行い,基準値を算出した.続いて 3種類の口腔内スキャナー(CEREC Primescan: PM,CEREC Omnicam: OM,Emerald Planmeca: EM,通常のスキャナーヘッドより小さなスキャナーヘッドを装着したEmerald Planmeca: EMS) を用いて三次元形状データ(STLデータ)を採得し,得られたデータを基に,立体画像解析用ソフトウェア(spGauge)で4個のボールアバットメント間の距離を測定し,精確性に関して評価を行った.

    結果:ボールアバットメント間の距離が増加すると誤差が増加した.スキャナーヘッドが小さいEMSは真度,精度ともに誤差が有意に大きくなった.

    結論:口腔内スキャナーの精確性は,多数歯欠損での適用は困難であるものの,現在のところ少数歯欠損症例における口腔インプラント治療への臨床応用が適用であることが示唆された.

専門医症例報告
  • 稲用 友佳
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:75歳男性.上顎歯肉の腫脹と義歯の咬合の不具合を主訴に来院した.上顎部分床義歯と下顎天然歯に過度な咬耗を認め,咬合高径の低下と両側咬筋の疲労を自覚していた.咬合挙上と咬合平面の修正を図り,下顎天然歯の歯冠補綴と上顎オーバーデンチャーの製作を行った.

    考察:上顎をオーバーデンチャーにすることで咬合高径や咬合平面の修正が容易になり,下顎の咬耗した天然歯も合わせて補綴することで,義歯の安定が得られ,咀嚼能力が改善し,高い口腔関連quality of lifeが維持された.

    結論:過度な咬耗により咬合高径の低下を生じた患者に対し,オーバーデンチャーを用いて咬合高径と咬合平面を回復し,良好な経過が得られた.

  • 中谷 早希
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 223-226
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は70歳の女性.義歯不適合による咀嚼困難と審美不良を主訴に来院した.前歯部のみに咬合接触が残存し,臼歯部咬合支持がない部分歯列欠損を呈していた.下顎にインプラント支持を利用した部分床義歯を,上顎に部分症義歯を用いて咬合再構成を行った.

    考察:インプラントを利用し,義歯の沈下を防止することと,上下顎の加圧因子と受圧条件を改善することにより,主訴の解決が実現できたと推察される.

    結論:インプラント支持を利用した部分床義歯を用いて咬合再構成を行うことによって,良好な結果を得ることができた.

  • 寺中 智
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は54歳の女性,下顎右側臼歯部欠損に対して咀嚼障害を主訴に来院した.臼歯部欠損に対して口腔インプラントを用いた補綴治療を行い,臼歯部補綴治療に対して側方運動時の負荷を避けるため前歯部の治療を行った.

    考察:患者の残存歯の関係で臼歯部の補綴治療をするうえで,前歯部の治療は 2| とした.2| については適切なアンテリアガイダンスを付与するため,最小限侵襲で修復するラミネートベニアとした.この意思決定と定期的な咬合確認により良好な結果につながったと考えられる.

    結論:本症例は,口腔インプラントを用いた補綴治療を行い,2| をフェイルセーフとしたことで臼歯部補綴装置が安定し,長期良好な経過が得られた.

  • 畔柳 沙織
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 231-234
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は60歳女性.咀嚼困難と審美不良を主訴に来院した.残存歯は重度歯周炎に罹患しており,歯周治療などの補綴前処置後,上顎に全部床義歯,下顎にコーヌステレスコープ義歯を装着し,9年間の経過観察を行っている.

    考察:コーヌステレスコープ義歯の優れた清掃性と二次固定効果により,骨植不良な残存歯の動揺は減少し,機能時の義歯の安定が得られた.それにより,咀嚼機能は回復し,審美性に関しても満足が得られ,良好な予後に繋がったと考える.

    結論:重度歯周炎を伴う少数歯残存症例に対してコーヌステレスコープ義歯にて補綴治療を行うことにより,患者の口腔関連QOLの向上に寄与することができた.

  • 古木 譲
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 235-238
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は42歳男性で,上下顎左側第二大臼歯のオールセラミッククラウンの破折による咀嚼障害を主訴に来院した.審美性の回復を強く望んだため陶材焼付冠を選択した.

    考察:破折はセラミックを用いた補綴装置のトラブルで最も多く,臼歯部の歯冠補綴装置で形態,機能に加えて審美性を回復する場合には最も注意を払うべき項目となる.第二大臼歯は第一大臼歯についで大きな咬合力が発揮される部位であることから側方位での咬合接触を少なくできる即時離開咬合を付与した.

    結論:対合関係にある大臼歯部の咀嚼障害の患者に即時離開咬合を付与した陶材焼付冠による補綴処置を行ったところ良好な予後が得られた.

  • 徳江 藍
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 239-242
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:63歳男性.咀嚼困難を主訴に来院した.上顎は左側臼歯部に,下顎は右側臼歯部に残根が認められた.患者は口蓋を被覆しない補綴装置で,かつ咀嚼機能の向上を強く希望したため,上顎に4つのロケーターアタッチメントを設置したインプラントオーバーデンチャーと下顎にはインプラント支台によるモノリシックジルコニアブリッジを装着した.

    考察:本症例は,インプラントの診断,埋入から技工操作のほとんどをデジタル技術を利用して行った.フレームワークの適合性は非常に良好であり,精巧なCAD/CAM加工に寄るところが大きいと考える.

    結論:装着後約4年経過するが,インプラント,義歯ともに異常は認められず,十分な患者満足を得た.

  • 小正 知里
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 243-246
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は67歳の女性.上下顎全部床義歯の不適合を主訴に来院した.下顎全部床義歯は顎堤吸収が高度で,粘膜面の適合が不良であり,義歯床床縁の設定位置,人工歯排列位置,および研磨面形態が不適切であり,義歯機能時の安定は損なわれていた.そこで,ピエゾグラフィを用いた全部床義歯を製作した.

    考察:ピエゾグラフィを応用することで,口腔周囲筋や舌運動と調和した人工歯排列位置と義歯床研磨面形態が付与され,咀嚼機能の回復に良好な結果を得ることができたと考えられる.

    結論:本症例においては,ピエゾグラフィを応用することで,機能時における義歯の安定を阻害することのない全部床義歯を製作することができた.

  • 石山 司
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 247-250
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:45歳の女性.二次齲蝕および補綴装置脱離による咀嚼困難・審美障害を主訴に来院した.上顎補綴装置除去後は暫間義歯を装着した.保存困難な9本の残存歯は抜歯した.インプラント埋入と同時に暫間インプラントを使用した暫間補綴装置を使用した.1|1 はRoot Submergence Techniqueを応用し保存した.暫間補綴装置で口腔機能・審美性に問題ないことを確認後,最終補綴装置を装着した.

    考察1|1 を保存したことにより歯槽骨の吸収は少なく,現在もポンティック部の顎堤は良好に経過していると考える.

    結論:暫間インプラントによる暫間補綴装置を適切に利用することにより口腔機能・審美性を確保して最終補綴に移行することは患者のQOLの改善に寄与した.

  • 千葉 雅之
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 251-254
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:48歳の男性.上顎前歯の仮歯が取れて気になるという主訴で来院した.睡眠時無呼吸症候群の疑いで,医科に紹介し閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断.患者は口腔内装置による治療を希望し,下顎前方保持装置を装着した.

    考察:本症例では口腔内装置を製作したが,3D-CTで気道容積が改善しなかった.その後,口腔筋機能療法と患者教育を行うことで,症状は改善した.

    結論:下顎前方保持装置で気道形態が改善しない閉塞性睡眠時無呼吸症例においては,下顎前方保持装置と口腔筋機能療法,生活習慣の見直しと患者教育,定期的なメインテナンスが有効であった.

  • 本田 順一
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 255-258
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は21歳の女性.上顎右側中切歯の変色による審美障害を主訴に来院した.当該部位は,歯根内部吸収と診断し,抜歯後にジルコニア接着ブリッジによる補綴処置を行うこととした.

    考察:機械的強度に優れるジルコニアを接着ブリッジのフレームワークに用い,レジン系装着材料で確実に接着を行うことで,良好な長期経過を得ることができたと考えられる.

    結論:ジルコニアセラミックスは機械的強度と審美性に優れた材料であるため,接着ブリッジのフレームワークとして臨床応用可能であり,低侵襲で,長期的に安定した補綴処置を行うことができた.

  • 三宅 晃子
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 15 巻 2 号 p. 259-262
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/20
    ジャーナル フリー

    症例の概要:患者は39歳女性,全部床義歯の咀嚼困難を主訴として来院した.ピエゾグラフィを用いて新義歯を製作し,咀嚼機能の回復を図った.全部床義歯は,ピエゾグラフィにて生体の動きに調和した形態となり,リンガライズドオクルージョンによって機能時の義歯の側方力の軽減と舌房の確保により,義歯の維持・安定が得られ,咀嚼機能が回復した.

    考察:ピエゾグラフィは高度な顎堤吸収がある症例において義歯の安定を得るのに有用な手法であり,リンガライズドオクルージョンを付与することで食品粉砕能を高めた.

    結論:若年の症例に対し生体の動きに調和した全部床義歯を装着し,咀嚼機能とQOLが向上した.

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