2023 年 15 巻 2 号 p. 202-210
目的:本研究では,咬合の高さを測定可能な計測用咬合器を開発し,CAD/CAMによって製作したレジンジャケットクラウンの咬合の高さをロストワックス法と比較評価した.
方法:異なる経験年数の歯科技工士3人によりロストワックス法にて全部金属冠を製作した.ハイブリッド型コンポジットレジンを材料としたレジンジャケットクラウン(以下,CAD/CAM冠)は異なる形状のディスクとブロックを用いて製作した.それぞれ計測用咬合器にて咬合の高さを計測し,全部金属冠と比較した.
結果:計測用咬合器の繰り返し平均高さは−0.6±0.7 µmと高い精度を有した.全部金属冠の咬合の高さは経験年数20年の歯科技工士が最も標準偏差が小さく−59±6 µmであった.CAD/CAM冠の咬合の高さはブロック形状の加工にて最も標準偏差が小さく125±18 µmであり全部金属冠の咬合の高さよりも高いことが明らかとなった(p<0.05).
結論:本研究において,CAD/CAM冠の咬合の高さはロストワックス法で製作した全部金属冠と比較して咬合の高さが平均154 ~270 µm高くなる傾向がみられた.また,加工材料形状を検討することで安定した製作が可能になることが明らかとなった.