日本補綴歯科学会誌
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原著論文
スキャナーヘッドの大きさが口腔内スキャナーの画像情報の再現精度に及ぼす影響
安部 道近藤 尚知田邉 憲昌佐藤 宏明福徳 暁宏深澤 翔太
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2023 年 15 巻 2 号 p. 211-218

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抄録

目的:スキャナーヘッドのサイズが異なる3種類の口腔内スキャナーを使用して,多数歯欠損を想定したインプラントボールアバットメント間における距離の真度,精度の比較検討を行い,口腔内スキャナーの精確性に関してスキャナーヘッドが与える影響を評価することを目的とした.

方法:下顎インプラント実習用模型にインプラント体を4本埋入し,舌側部に校正用基準球を設置した模型を本研究のマスターモデルとした.マスターモデルのインプラント体にボールアバットメントを装着後,接触式三次元座標測定機による三次元計測を行い,基準値を算出した.続いて 3種類の口腔内スキャナー(CEREC Primescan: PM,CEREC Omnicam: OM,Emerald Planmeca: EM,通常のスキャナーヘッドより小さなスキャナーヘッドを装着したEmerald Planmeca: EMS) を用いて三次元形状データ(STLデータ)を採得し,得られたデータを基に,立体画像解析用ソフトウェア(spGauge)で4個のボールアバットメント間の距離を測定し,精確性に関して評価を行った.

結果:ボールアバットメント間の距離が増加すると誤差が増加した.スキャナーヘッドが小さいEMSは真度,精度ともに誤差が有意に大きくなった.

結論:口腔内スキャナーの精確性は,多数歯欠損での適用は困難であるものの,現在のところ少数歯欠損症例における口腔インプラント治療への臨床応用が適用であることが示唆された.

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© 2023 公益社団法人日本補綴歯科学会
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