2023 年 15 巻 3 号 p. 309-312
症例の概要:患者は53歳の女性.上顎前歯部固定性補綴装置の破損および形態不良に伴う審美不良を主訴に来院した.固定性補綴装置の支台歯である 1| は歯肉縁下に及ぶ二次齲蝕を認めた.齲蝕除去と支台歯形成により歯肉退縮が生じたことから,矯正的挺出を併用し,(6)(5)4(3)(2)(1) | 12(3) の陶材焼付鋳造ブリッジを装着した.
考察:補綴装置装着4年経過後,著しい歯肉退縮は認めず,患者の高い満足度が得られていることから,良好に経過していると考えられた.
結論:齲蝕除去および支台歯形成による歯肉退縮を生じた支台歯を,矯正的挺出を行うことで,歯頸部歯肉形態を可及的に左右対称に近づけ,審美性の高い補綴装置装着が可能となった.