2023 年 15 巻 3 号 p. 313-316
症例の概要:多数歯齲蝕・歯冠崩壊に起因した咬合崩壊による咀嚼障害,および審美障害に対して,治療用義歯を製作し,可能な限り歯牙を保存してコーピングを装着し,上顎は無口蓋形の残根上義歯を製作して良好な予後を得た.
考察:残存歯の歯根長は齲蝕による歯質欠損により歯冠補綴を行うには不十分であったが,オーバーデンチャーとすることにより歯冠歯根比の改善を図るとともに,多くの歯牙に咬合負担を分散させることが可能となったことで,良好な予後が得られたと考えられる.
結論:無口蓋義歯症例において,多数歯のコーピングを使用することは歯科における身体的,機能的,精神的障害の改善に有用である.