2023 年 15 巻 3 号 p. 349-352
症例の概要:73歳女性.下顎義歯の動揺・疼痛による咀嚼困難と上顎臼歯部の食片圧入を主訴として来院した.下顎義歯不適合による咀嚼障害および上顎大臼歯部歯間離開による食片圧入と診断した.下顎は,治療用義歯として総義歯を製作後,即時荷重のインプラントオーバーデンチャー(IOD)にて下顎義歯の維持・安定の改善を図った.上顎は臼歯部に連結全部鋳造冠を,欠損部に部分床義歯を製作し,下顎にはIODを新製した.
考察:下顎にIODを適用したことにより,手術直後から義歯の安定が向上し,患者の咀嚼能力が改善した.
結論:本症例のように顎堤吸収があり,義歯の維持・安定が困難な症例には,IODは有効な治療オプションであると考えられた.