2023 年 15 巻 3 号 p. 365-368
症例の概要:患者は70歳男性.上顎右側骨肉腫の再発で当院を受診し,上顎部分切除術を受けた.術後の顎補綴治療の依頼により,当科を受診した.上顎右側の骨欠損は鼻腔と上顎洞に交通していた.顎欠損による咀嚼障害,構音障害,審美障害と診断した.所持していた旧上顎顎義歯は不適合だった.治療用義歯として修理,調整を行った後に,新顎義歯の製作を行った.
考察:新顎義歯の形態は,治療用義歯の形状を参考にした.その結果,構音機能,咀嚼機能,審美性が向上し,これにより患者のQOLが向上した.
結論:顎義歯の形態を口腔周囲筋の運動に調和させることにより,長期的に良好な予後が得られた.