2023 年 15 巻 3 号 p. 405-408
症例の概要:患者は39歳の女性,上顎右側中切歯の審美不良および鈍痛を主訴に来院した.抜歯矯正にてプロファイルや上下正中線を改善するとともに,矮小な過剰歯にポーセレンラミネートベニアを用いて中切歯形態を付与し審美改善を行った.
考察:治療後には歯周組織の炎症はなく歯肉形態も維持され,患者の精神的不快感は改善された.補綴装置と歯肉の調和,骨格に応じた歯軸,適切な咬合が得られたことによって,長期安定した結果が得られたと考える.
結論:一歯の補綴であったとしても,全顎的診断のもとにトップダウントリートメントを行うことで,審美と機能が調和した補綴歯科治療となることが示された.