2023 年 15 巻 3 号 p. 417-420
症例の概要:患者は60歳の女性.多数の骨隆起と上顎残存歯のフレアアウトに伴う咬合高径低下によって顎堤粘膜の疼痛が惹起され,咀嚼障害が認められた.有床Splintによる下顎位の修正後,強固な金属フレームによる部分床義歯を装着した.
考察:狭小なデンチャースペースのため義歯装着後の調整の余地は少なく,Splintによる下顎位の決定が有効であったと考えられる.その後,状況の変化に応じた処置を実施することで,十分な咀嚼機能を維持することができた.
結論:顕著な骨隆起と咬合高径低下に伴う咀嚼障害対して,有床Splintによる下顎位の修正後に剛性の高い部分床義歯を装着することで,良好な経過を得ることができた.