2023 年 15 巻 3 号 p. 413-416
症例の概要:患者は66歳女性.上下顎全部床義歯が安定剤を使用しないと食事ができないことを主訴に来院した.また,過去の歯科治療に不信感があり,特にインフォームドコンセントが課題であった.そのため,補綴歯科治療を実施していくうえで,主観的および客観的評価を患者と情報共有し,両者の評価を参考に補綴歯科治療を実施した症例である.
考察:主観的および客観的評価の記録を患者と共有することにより,過去の歯科治療の不信感が軽減され,補綴歯科治療の協力が得られたと考える.
結論:主観的および客観的評価は患者との信頼関係を構築するための手段となり,また,治療の分岐点の判断基準の参考となる.