2023 年 15 巻 4 号 p. 523-526
症例の概要:20歳の女性.先天性欠如による歯間空隙の閉鎖と金属補綴装置による審美性への不満の改善を希望し来院.歯列骨格統合モデルによる分析の結果,下顎骨の偏位や骨格的な異常は認められなかった.そのため,対合の補綴スペースを阻害している 3|,|3 の尖頭を咬合平面に合わせて形態修正した後,補綴治療を行った.
考察:口腔内スキャナーによる咬合接触診査では,術後において咬合接触面積,咬合接触点数の増加が確認された.現在3年10か月が経過しているが予後は良好である.
結論:歯列骨格統合モデルを用いた分析は,下顎の偏位や骨格的な評価・診断が可能であり,補綴治療を行ううえでは,有効な診断ツールであると推察された.