2023 年 15 巻 4 号 p. 527-530
症例の概要:患者は69歳の男性,臼歯部欠損による咀嚼困難および前歯部補綴装置脱離による発音困難を主訴として来院した.咬合高径の低下に対し咬合挙上により咬合の再構成を行い,インプラント義歯と歯冠補綴装置を用いて臼歯部の咬合を確立した.
考察:咬耗と欠損部の長期放置が咬合高径の低下につながったと考えられた.また睡眠時ブラキシズムによる過大な咬合力が歯根破折や補綴装置の脱離を引き起こした可能性がある.
結論:咬合高径の低下に対して治療用義歯とプロビジョナルレストレーションを用いて咬合挙上を行った後,インプラント義歯と歯冠補綴装置により審美性と咀嚼機能を回復し,患者満足度の高い結果を得ることができた.