2023 年 15 巻 4 号 p. 551-554
症例の概要:患者は76歳女性.咀嚼困難を主訴に来院した.過蓋咬合を呈しているが,経済的理由から矯正治療は選択肢になく,垂直的な補綴スペースの増加は困難であると判断できたため,可綴性補綴装置により治療を行った.患者は機能的に改善された治療結果に満足した.
考察:患者は最終補綴装置装着後3年間特に問題なく経過している.可綴性補綴装置によって上顎咬合平面の改善が容易になったことが,良好な経過を得たものと考える.
結論:過蓋咬合を呈する症例に対して,可綴性補綴装置を用いることにより咬合挙上を図ることは有効であった.