2024 年 16 巻 1 号 p. 127-130
症例の概要:73歳の女性,義歯の動揺と審美不良を主訴に来院した.診断の結果,すれ違い咬合に伴う咬合高径の低下を認め,旧義歯と咬合高径挙上副子により咬合高径を挙上した.支台歯と義歯の連結強度を考慮して補綴前処置として歯冠補綴処置後,金属床義歯を装着した.
考察:挙上により,上下顎義歯の補綴スペースが改善され,審美性を改善した義歯を製作することができた.支台歯と義歯の連結強度を高めた設計により,咬合力分散と義歯の動揺の抑制を図り,良好な予後を得ることができた.
結論:咬合高径の低下を伴うすれ違い咬合である本症例は,咬合高径挙上と連結強度を高めた最終補綴装置の装着により,主訴を改善させることができた.