2024 年 16 巻 2 号 p. 323-326
症例の概要:54歳女性.うまくかめないため飲み込みにくく見た目が悪いという主訴で来院した.検査の結果,上顎前歯部動揺による咀嚼障害,顎位不安定および舌骨低位による嚥下機能低下,上顎前歯部歯根露出による審美障害と診断し,補綴治療と同時に嚥下機能向上を目的とした間接訓練を行い,その後最終補綴装置を製作した.
考察:長期間咀嚼困難であった患者に対し,間接訓練や姿勢,嚥下方法を指導した後に補綴装置を製作したことで,口腔機能向上につながった.
結論:嚥下障害への一線を越えないためには適切な補綴治療だけでなく,回復可能な段階で嚥下機能低下を診断し,嚥下機能にアプローチすることが重要である.