2026 年 18 巻 3 号 p. 313-318
症例の概要:58歳,男性.主訴は左下第二大臼歯に対する根管治療後のクラウン装着時に出現した咬合違和感と舌側縁の痛み.医療面接・診察・検査から,咬合違和感症候群(ODS)Ⅲ型と診断し,ケース・フォーミュレーション(CF)を行い機能分析した.患者対応と治療の結果,2か月で患者との信頼関係が構築され,患者の満足度も得られ,自覚症状が大幅に改善した.今回はこのCFを自然な対話形式で,短時間で済む質問項目にし,患者自身の回答から整理する問診票「簡易CF票」を作成した.簡易CF票は,CFの重要な三つのファクター①先行刺激,②反応,③結果を簡単に聴取でき,それに基づく機能分析(維持要因)が導きやすくなるように工夫を加えた.最後に,本患者のCFを基に簡易CF票にシミュレーションし,医療現場での実用可能性について検討した.
考察:この簡易CF票により,患者の解釈モデルが明確になり,心理的アセスメントの一助となり,更に寄与因子の歯科的因子と修飾因子を機能分析できる可能性が示唆される.また,現場での活用により,より精緻化した患者の心理的アセスメントができるだけでなく,問診時のコミュニケーションを通して患者との関係性の構築にも寄与することが期待される.
結論:CF作成を問診形式の簡易CF票にすることで,一般歯科臨床においてODS患者の心理学的な問題点が明確になり,対応と治療に活用できる可能性が示唆された.