日本補綴歯科学会誌
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審美歯科におけるチームプレー
―Esthetic Zoneにおける天然歯・インプラント補綴―
行田 克則
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2011 年 3 巻 2 号 p. 108-118

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抄録
審美ゾーンと言われる前歯のエリアで患者の満足する結果を得ることはまず困難なことが多い.またそれを長期にわたり維持していくことはさらに困難である.まず患者の口腔内に装着された補綴物は既存の隣在歯と調和しなければならない.これを達成するには歯科医師だけでは無理で技工士の力を必要とする.またこれにより審美的満足が得られたとしても次には長期的な安定を達成しなければならない.そのためには歯肉の診断をし,将来起こりうる歯肉の再生と歯肉の退縮を予測しなければならない.もちろん歯肉退縮は防ぐべきことは当然である.歯肉の再生は歯槽上線維装置の再配列によりなされるが,オーバーインストゥルメンテーションされた歯根面では起こりにくい.また前歯部のインプラント補綴となるとさらに複雑な治療により,周囲組織を再生させなければならないが,このインプラントの粘膜貫通部分はオーバーインストゥルメンテーションされた天然歯と非常に似た状態であり,歯槽上線維装置の再生が期待できない.こうした因子を踏まえたうえで歯科医師,技工士とも患者に向かうことが重要である.
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© 2011 社団法人日本補綴歯科学会
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