日本補綴歯科学会誌
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原著論文
マウスガードシートの形状が成形後マウスガードの厚さに与える影響
高橋 睦小出 馨水橋 史森田 修己
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2011 年 3 巻 2 号 p. 135-143

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抄録

目的:マウスガード装着による外傷予防効果は,マウスガードシートの材質や付与される厚さに大きく依存する.本研究では,シートの形状による吸引成形後マウスガードシート各部の厚さについて,加熱状態の影響とともに検討を行った.
方法:材料は,溝付きのステップタイプのマウスガードシート(インパクトガード®)および同質材料の溝のないフラットなシートを使用し,このシートに10 mm四方の格子を記入して測定部とした.厚さの測定は各格子の厚さをメジャリングディバイスを用いて計測した.作業用模型は,上顎中切歯切縁で20 mm,上顎第一大臼歯近心頬側咬頭で15 mmの高さにトリミングしたものを使用した.成形には吸引型成型器を用い,加熱状態はシート基底面がクランプから10 mm,15 mmおよび20 mm降下した時点とした.分析は,シートの形状と加熱状態によるシートの厚さの変化率の違いについて,二元配置分散分析を用いて行った.
結果:シートの形状による厚さの違いは,前歯部および臼歯部で有意差が認められ,溝付きシートの方が厚さの減少率は小さかった.加熱状態による厚さの違いは,前歯部,口蓋部および臼歯部において10 mmと20 mmの間で有意差が認められ,加熱が進むほど厚さの減少率は大きかった.
結論:吸引成形後マウスガードの厚さはシートの形状と加熱状態に影響を受け,溝付きシートを用いた方が前歯部と臼歯部の厚さを確保できることが明らかとなった.

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© 2011 社団法人日本補綴歯科学会
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