抄録
症例の概要:患者は慢性歯周炎を有した58歳女性.種々の問題点を,歯周組織再生療法を含む歯周外科処置,MTM などの前処置により解決した.その後,臼歯部を中心に補綴処置を行い,清掃性と機能性を考慮した予知性の高い状態に回復した.
考察:この症例のような広範囲の補綴歯科治療を行うには,正確な診断と効率的な治療順序の決定が必要となる.現在,補綴処置終了より4年経過.約半年ごとのメインテナンスと口腔衛生指導を継続しており経過良好である.
結論:本症例報告を通して,術前に十分問題点を抽出し,補綴前処置によりそれらの諸問題を解決しておくことが,補綴処置の良好な予後を見通すために重要であることを示唆することができた.