抄録
症例の概要:初診時61歳の女性.部分床義歯の不備による咀嚼障害の改善を主訴に来院した.残存歯の歯周治療および欠損部の補綴治療中に,咀嚼機能のさらなる向上および上顎義歯による発音障害の改善を希望されたため,上下顎欠損に対し,咬合支持やアイヒナー分類を考慮してインプラント治療を行なった.
考察:経過観察中(4)32(1)|1(2)インプラントブリッジが脱離しかけたが,再装着を行いそれ以降の脱離はない.補綴終了後3年以上が経過したが,インプラント補綴治療による咀嚼機能は維持されていると考えられた.
結論:多数歯欠損症例におけるインプラントによる欠損補綴治療は,可撤性義歯によるそれより咀嚼機能の回復と維持においてより効果的であった.