抄録
症例の概要:患者は64歳女性で開口困難および咀嚼困難を主訴として来院した.顎関節症状の改善には理学療法を行った.顎堤粘膜の改善と咀嚼機能の回復には治療義歯を応用し,顎関節症状および咀嚼機能が改善された時点で,治療義歯および咬合面形態を最終義歯に移行した.その結果,開口困難は改善し,満足のいく咀嚼機能をもつ総義歯を装着することができた.
考察:顎関節症の治療には,顎関節部に加わる負荷のコントロールが重要であることは知られている.そこで治療義歯によって負荷のコントロールと床下粘膜の改善が行われ,良好な結果が得られた.
結論:治療義歯を用いることによって,顎関節機能と咀嚼機能を同時に改善することができた.