抄録
目的:本研究では,マウスガードの厚みを確保するためにマウスガードシートへ切れ込みをいれる方法について検討を行った.
方法:材料はマウスガードシート(厚さ3.8 mm)を使用した.マウスガードシートの状態は,通常のシートおよび切れ込みをいれたシートの2条件とした.シートの成形は吸引型成型器を用い,シートが20 mm垂れ下がった時点で吸引圧接した.厚みの測定は,前歯部および臼歯部の切縁部(咬頭部),中央部,歯頚部を計測部位として,メジャーリングデバイスを用いて行った.分析は,前歯部および臼歯部における計測部位とマウスガードシートの状態による厚みの違いについて二元配置分散分析を用いて行った.
結果:前歯部については,切れ込みをいれたシートの中央部および歯頚部は,通常のシートのすべての部位との間に有意差を認め(p<0.01),厚みが大きくなった.臼歯部については,通常のシートおよび切れ込みをいれたシートにおいて,各計測部位の間で有意差が認められた(p<0.05およびp<0.01).また,シートの状態の2条件の間に有意差が認められ(p<0.05),切れ込みをいれたシートのほうが厚みが大きくなった.
結論:マウスガードシートに切れ込みをいれる方法は,前歯部および臼歯部における厚みを確保でき,臨床上有用な方法であることが示唆された.