日本補綴歯科学会誌
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原著論文
低ミネラル食を摂取させた卵巣摘出ラットの大腿骨骨幹端部における骨変化
中田 浩史鈴木 静夏渡辺 丈紘寒河江 登志朗谷本 安浩河相 安彦
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2012 年 4 巻 1 号 p. 76-84

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抄録
目的:本研究は卵巣摘出後のラットに低ミネラル食を摂取させることによる大腿骨骨幹端部の骨変化を明らかにすることを目的として,マイクロCTとTRI/3D-Bon BMDを用いた三次元マップ構築,骨塩量および骨体積測定を行った.
方法:実験には48匹のラットを用いた.ランダムに抽出した16匹をコントロール群(グループ1)とし,20週齢時に疑似手術を行った後,普通食を与えた.残りの32匹には20週齢時に両側の卵巣摘出手術を施し,16匹ずつの2群(グループ2と3)に分けた.グループ2は術後に普通食を,グループ3は低ミネラル食を与えた.骨の観察時期は術後4,8,16および24週とした.
結果:カラースケールによる海綿骨の三次元マップ構築では,皮質骨に近接する一部の領域で高い骨密度を示す橙色が,骨髄に面する内表面ではそれぞれ中間的な骨密度,低い骨密度を示す緑色と水色が示された.皮質骨および海綿骨ともに,その骨塩量は24週においてグループ1 に比較してグループ2と3で有意に減少した.骨体積は24週においてグループ1と比較してグループ2と3で有意に減少した.
結論:卵巣摘出によって起こるエストロゲンの分泌低下が,低ミネラル食摂取による海綿骨量の減少に影響を及ぼしている可能性があり,三次元マップ構築は骨密度を三次元の疑似カラーで表示することが可能で,骨粗鬆症や骨疾患の診断に有用であることが示された.
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© 2012 社団法人日本補綴歯科学会
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