抄録
症例の概要:患者は54歳の女性.歯科矯正治療はされず,顎裂部が残存する上顎無歯顎の口唇裂口蓋裂症例に対し,デンチャースペース確保のために咬合挙上を伴った補綴装置を装着した.顎口腔機能の変化について評価するため,表面筋電図による咀嚼筋の評価および咀嚼混合能力試験を実施.装着後30週時点で,経過良好と判断しメインテナンスに移行した.
考察:補綴装置装着3年1カ月経過時の,表面筋電図による咀嚼筋の評価および咀嚼混合能力試験の結果は,装着後30週の時点と大きな変化は認められていないことから,良好な予後を得たと考えられる.
結論:咬合挙上を伴った補綴装置を装着し,咀嚼機能が改善し,患者の満足が得られた.