抄録
症例の概要:49歳女性.上顎前歯部の審美障害で来院した.下顎両側遊離端欠損による咬合支持の喪失に伴い,当該歯には重度の咬合性外傷が確認できた.そこで咬合支持の回復を優先し,アンテリアガイダンスの再構築を含めた補綴処置を行った.
考察:咬合支持の回復を優先することで歯周組織は改善し,前歯部をブリッジで補綴することで患者の希望を治療に反映できた.Problem-oriented systemを参考に治療を行うことで機能的にも審美的にも患者の満足を得ることができた.
結論:アンテリアガイダンスと咬合支持双方に問題がある場合には咬合支持の回復を優先し,プロビショナルレストレーションを用いてアンテリアガイダンスを模索することが効果的である.